PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、女性の内分泌系に関わる疾患のひとつで、排卵障害を中心としたホルモンのアンバランスによって引き起こされます。PCOSは月経異常や不妊、代謝異常、男性ホルモンの過剰分泌など多様な症状を引き起こし、女性の生活の質や将来の妊娠にも大きく影響します。
今回は小田原マタニティクリニックより、PCOSの症状に焦点を当て、どのような身体の変化があるのかを詳しく解説します。
PCOSの主な症状
まずは、PCOSの主な症状について見ていきましょう。
月経不順や無月経
PCOSにおいて最も多く見られる症状のひとつが月経不順です。ホルモンバランスの乱れにより排卵がうまく行われないため、月経周期が大きく乱れたり、3か月以上月経が来ない無月経状態になることもあります。また、不正出血が見られるケースもあります。
排卵障害による不妊
PCOSの女性は、排卵が周期的に起こらない「排卵障害」が見られることが多く、不妊の原因となることがあります。排卵が起こっていないため、妊娠のチャンスが減り、自然妊娠が難しくなるのです。
実際に不妊治療を受けている女性の中でも、PCOSと診断されるケースは多く、不妊症との関連性は非常に強いといえます。
男性ホルモンの影響による症状
PCOSでは男性ホルモンが過剰に分泌されることがあります。このホルモンの過剰は、女性でありながら以下のような男性的な特徴が現れる原因になります。
たとえば、顔や体の多毛があるほか、頭部の薄毛や脱毛が目立つようになることもあります。また、肌トラブルとしてはニキビの悪化が挙げられます。
肥満とインスリン抵抗性
PCOSの女性には肥満傾向が見られることが多くあります。また、インスリンの働きが弱まる「インスリン抵抗性」も関連しており、血糖値のコントロールが難しくなることで将来的な糖尿病リスクも高まります。インスリン抵抗性は、PCOSの発症や悪化に関与しており、食生活や生活習慣の見直しが治療の一環として重要です。
PCOSの診断基準
PCOSの診断は、月経異常、卵巣に多嚢胞性卵巣がある、血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常の項目を満たした場合に診断できます。
PCOSの症状がもたらす心理的影響
PCOSによって引き起こされる症状は、身体面だけでなく精神面にも影響を及ぼします。たとえば、月経不順やニキビ、多毛などの外見的な変化により自己肯定感が低下したり、将来の妊娠への不安から精神的なストレスを抱えることもあります。
とくに妊娠を望む年代の女性にとって、排卵障害や不妊症は深刻な問題となるため、専門医による適切な説明とサポートが求められます。
症状がある場合は早期の受診を
「生理が来ない」「肌荒れが治らない」「体毛が濃くなってきた」など、PCOSが疑われる症状がある場合は、できるだけ早く婦人科を受診しましょう。PCOSは放置しても自然に改善することは少なく、放っておくと生活習慣病のリスクも高くなります。
現在では、薬物療法や生活習慣の改善、ホルモンバランスの調整などによって、多くの女性が症状をコントロールし、妊娠も可能となっています。症状に気づいた時点で早めに医師と相談することが、未来の健康と幸せに繋がります。
まとめ:PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の症状とは?健康と妊娠に及ぼす影響
いかがでしたか?今回の内容としては、
- PCOSはホルモンバランスの乱れによる排卵障害が特徴
- 月経不順や無月経が代表的な初期症状
- 多毛・ニキビ・薄毛など男性ホルモンの過剰による変化が起きうる
- 肥満やインスリン抵抗性が関与し、糖尿病リスクが上昇
- 不妊との関連が強く、早期の受診と治療が重要
以上の点が重要なポイントでした。PCOSの症状は日常生活に密接に関わる問題です。自分の体の変化に耳を傾け、必要なサポートを受けましょう。排卵をさせることが最も有効な治療法となります。