不妊治療において、卵管の閉塞や狭窄が原因で妊娠が難しい場合、卵管鏡下卵管形成術(FT)が有効な治療法として注目されています。この手術は、卵管の通り道を改善するものなのですが、手術によって一体どのような効果が期待されるのでしょうか?
今回は小田原マタニティクリニック(オダマタブログ)より、卵管鏡下卵管形成術(FT)の概要と、その期待される効果をテーマにお届けしていきます。外来治療として卵管鏡下卵管形成術(FT)が可能な医療機関を探されている方は、ぜひご覧ください。
卵管とは?
卵管とは、子宮と卵巣をつなげている左右両側にある管のことであり、その長さは片側10センチほど。卵管は卵子と精子の通り道であり、受精をする場所でもあります。妊娠のためには卵子と精子が出会って受精しなければなりませんが、左右の卵管が詰まってしまうと自然妊娠はできなくなってしまいます。
卵管閉塞と卵管狭窄とは?
前項で左右の卵管が詰まってしまうと自然妊娠はできなくなってしまうとお伝えしましたが、この卵管が詰まった状態のことを卵管閉塞と呼びます。また、卵管が狭くなっている状態を卵管狭窄と呼びます。
卵管閉塞と卵管狭窄の自覚症状について
卵管閉塞と卵管狭窄は基本的に無症状であるため、なかなか妊娠ができない…と悩まれていた方が、検査を受けてはじめて知るケースが多くあります。卵管の詰まりを調べる検査としては、子宮卵管造影検査という検査が一般的におこなわれ、これには子宮の形態を確認するという目的もあります。ちなみに、卵管閉塞であっても生理はきます。
卵管鏡下卵管形成術(FT)とは?
卵管鏡下卵管形成術(FT)は、卵管内視鏡(卵管鏡)を用いて卵管の状態を直接観察し、閉塞や狭窄を治療する手術です。また、入院を必要とせずに外来治療をおこなう(外来卵管鏡下卵管形成術)医療機関もあり、点滴や消毒、手術あわせて1時間以内で終了します。
卵管鏡下卵管形成術はどのような手術なのか?
卵管鏡下卵管形成術では、卵管のなかにプラスチックでできた管(バルーン)を通して広げ、卵管の中を観察する内視鏡(卵管鏡)を用いて卵管内腔を確認します。
具体的には、FTカテーテルを子宮の中に挿入して卵管の入口を探し、入口を見つけたらバルーンを伸ばします。障害部位が開通されればバルーンを戻していき、また卵管内面も観察します。
期待される効果
卵管鏡下卵管形成術(FT)は、卵管の通過性を回復させることにより、精子と卵子が出会いやすくなることで、自然妊娠の可能性を高める効果が期待されます。この手術は保険が適用され、手術の時間も短く、外来治療も可能というメリットがあります。
入院限度額の申請を忘れずに行いましょうね。
体外受精と卵管鏡下卵管形成術(FT)の比較
体外受精と比較すると、卵管鏡下卵管形成術はより自然な形での妊娠を目指すことができます。体外受精は卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮内に移植する方法ですが、卵管鏡下卵管形成術は、卵管を修復することで自然な妊娠を可能とします。
卵管鏡下卵管形成術(FT)の注意点
卵管鏡下卵管形成術(FT)には、一般的な外科手術と同様にリスクがあり、卵管の再閉塞、手術中の出血などが考えられます。また、卵管障害の程度によっては卵管の開通ができなかったり、手術が成功しても必ずしも妊娠が確約されるわけではないため、患者と医師の間で十分な話し合いが必要です。
まとめ:卵管鏡下卵管形成術(FT)とは?期待される効果は?
いかがでしたか?今回の内容としては、
- 卵管鏡下卵管形成術(FT)は、卵管の通過性を改善するための手術である
- 卵管鏡下卵管形成術(FT)は、自然妊娠の可能性を高めることが期待される
- 手術は卵管鏡を用いて行われ、狭窄や閉塞を修復することで、精子と卵子の出会いを促進する
- 卵管鏡下卵管形成術(FT)は、できるだけ自然な形で妊娠を目指したい夫婦に適している
- 限度額の申請を行うことで、費用の大幅な低減を行うことができる
以上の点が重要なポイントでした。なかなか妊娠しない…と悩まれている方の原因として、卵管閉塞が要因となっている場合もありますので、妊娠を望まれる場合、一度医療機関での検査を検討してみてはいかがでしょうか。