体外受精(IVF)は、不妊治療の一環として多くの夫婦に希望をもたらしている一方で、その治療プロセスには一定の身体的負担や痛みが伴うことがあります。特に採卵や排卵誘発の段階では、それに伴う痛みや不快感があらわれることが少なくありません。
そこで今回は小田原マタニティクリニック(オダマタブログ)より、体外受精治療における採卵および排卵誘発の過程に焦点を当て、それに伴う痛みについて詳しく解説します。
体外受精とは?
体外受精とは、排卵近くまで育った卵子に針を刺して体外に取り出して(採卵)、精子と出会わせ(媒精)、受精卵を妊娠しやすい時期に戻す不妊治療のことです。
流れとしては、準備として検査や排卵誘発をおこない、採卵⇒媒精⇒胚移植(子宮に受精卵を戻す)⇒ホルモン補充⇒妊娠判定といった流れになります。
排卵誘発とは?
排卵誘発は、体外受精の初期段階で行われる重要なプロセスです。そして、排卵誘発剤は、卵子が卵巣から排卵されるときに卵子の成長を助けて、成熟した卵子の排卵を促すものです。
体外受精前の排卵誘発剤の注射の痛みについて
より多くの卵子を採卵するために、そして妊娠率を上げるために体外受精の準備として用いられますが、排卵誘発剤の注射に痛みを感じられる方は少なくありません。
当院では静脈麻酔での採卵も可能です。
排卵誘発剤の注射の種類によって筋肉注射と皮下注射がありますが、筋肉注射は特に痛みを感じる方がいらっしゃいます。また、皮下注射に関してご自身で注射をすることもありますが、その場合はゆっくりと注入することで痛みを軽減することが可能です。
現在、注射に使われている針は大幅に進歩し、ほぼ痛みなく注射ができます。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)について
排卵誘発剤に過剰に刺激されることで卵巣が腫れて、お腹や胸に水がたまるなどの症状があらわれることがあり、これを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼びます。ただし、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こらないように、排卵誘発剤の量を調節するなどして予防をおこないます。当院の排卵誘発剤法は自然周期であるため、発生することはほぼありません。
体外受精における採卵前の膣洗浄の痛み
採卵の前には膣洗浄として、外陰部と腟内を温かい生理食塩水を使って拭うわけですが、広げながらおこなうため、その際に痛みや違和感があらわれる場合があります。
体外受精における採卵の痛み
排卵誘発が成功し、複数の卵胞が成熟した後は、卵子を採取するプロセスが行われます。卵子採取は、経膣超音波(エコー)で位置を確認しながら行われ、採卵用の針を用いて卵胞内の卵子を回収します。
この手技自体は比較的短時間で終了しますが、発育した卵胞の数が多い場合は針を刺す回数が増えて、痛みが増す場合があります。また、採取した卵子が多い場合に卵巣が腫れてしまい、痛みが感じられることがあります。
体外受精における採卵の痛みを和らげることは可能?
体外受精における排卵の痛みを和らげる方法として、局所麻酔や静脈麻酔、鎮痛剤の使用などがあります。卵子が3個までであれば、痛み止めの座薬で十分採卵が可能です。採卵する数が多い場合には、静脈麻酔がおすすめです。当院では無痛採卵を静脈麻酔で行っております。採卵後1時間安静に過ごしていただき、診察のあと帰宅可能です。
痛みに関して不安のある方は医師やスタッフにじっくり相談すると良いでしょう。
是非当院の“子宝相談”を利用してください。
採卵および排卵誘発における心理的影響
採卵や排卵誘発の過程で感じる痛みは、単に身体的なものだけでなく、心理的な影響も少なからず存在します。不妊治療そのものが、精神的に大きなストレスを伴うものであり、特に治療が長期間にわたる場合、その影響は顕著です。
したがって、治療中は身体だけでなく、心のケアも重要です。パートナーや家族、医療チームと十分にコミュニケーションを取り、心理的なサポートを受けることが推奨されます。
まとめ:体外受精の治療における痛み(採卵・排卵誘発等)
いかがでしたか?今回の内容としては、
- 体外受精の治療プロセスには一定の身体的負担や痛みが伴うことがある
- 体外受精の流れは排卵誘発⇒採卵⇒媒精⇒胚移植(子宮に受精卵を戻す)⇒ホルモン補充⇒妊娠判定である
- 採卵において、発育した卵胞の数が多い場合は針を刺す回数が増え、痛みが増す場合がある⇒当院の平均採卵個数は2個で、痛みを感じる方は少ない
- 排卵誘発剤の注射の針は大幅に改良され、ほとんど痛みがない
以上の点が重要なポイントでした。体外受精は、身体的・精神的に負担のかかる治療ですが、適切な対策を講じることで、痛みや不安を最小限に抑え、治療を成功に導くことが可能です。痛みに不安がある方は、事前にその旨を医師やスタッフに相談しましょう。
是非、当院の“子宝相談”を利用してください。