男性不妊の治療法とは?原因から治療アプローチまで徹底解説

不妊治療というと、これまでは女性側に原因があるとされることが多くありました。しかし、現在では不妊の原因の約半数は男性側にあるとされており、男性不妊の治療への関心も高まっています。

妊娠がうまくいかないとき、女性側ばかりが治療を受けるのではなく、男性側も精密な検査と適切な治療を受けることが重要です。

今回は小田原マタニティクリニックより、男性不妊の治療に焦点を当て、その原因や検査法、治療の種類、そして生活改善のポイントまで詳しく解説します。

目次

男性不妊の主な原因とは?

まずは、男性不妊の主な原因について見ていきましょう。

造精機能障害が最も多い原因

男性不妊の原因として最も多いのが、「造精機能障害」です。これは、精巣での精子の産生に問題がある状態で、無精子症、乏精子症、精子無力症などが含まれます。これらは、精液検査を通じて数値的に把握することができます。

また、遺伝的な要因や内分泌異常、抗精子抗体の存在なども、精子の数や質に影響を与える要因です。

精路通過障害と性機能障害

造精機能に問題がなくても、精子が体外に出るまでの経路(精管)に異常がある「精路通過障害」や、勃起や射精が困難な「性機能障害」も、男性不妊の原因となります。これらの場合、物理的な閉塞や神経系の障害、糖尿病などの基礎疾患が関与していることがあります。

男性不妊の検査と診断

続いて、男性不妊の検査と診断について見ていきましょう。

まずは精液検査から

男性不妊の治療を始めるにあたって最も基本となるのが「精液検査」です。WHOの基準に基づき、精子の濃度、運動率、正常形態率などが評価されます。1回の検査だけでなく、数週間空けて複数回行うことで、より正確な評価が可能となります。

ホルモン検査・超音波検査・染色体検査

精液検査で異常が見られた場合、ホルモンバランス(FSH、LH、テストステロンなど)のチェックや、精巣の状態を確認する超音波検査、さらには染色体異常の有無を確認する遺伝子検査も行われることがあります。これらを通じて、男性不妊の原因を明確にし、適切な治療方針が決定されます。

男性不妊に対する治療法

続いて、男性不妊に対する治療法について見ていきましょう。

生活習慣の見直しと自然妊娠の可能性向上

軽度の男性不妊であれば、生活習慣の改善だけでも妊娠の可能性が高まることがあります。禁煙や飲酒の制限、ストレス管理、睡眠の質向上、バランスの取れた食生活、適度な運動などが精子の質の向上に寄与します。

また、熱が精巣の働きを低下させるため、長時間のサウナ利用なども避けた方が良いとされています。

ホルモン療法や薬物療法

内分泌異常が原因と診断された場合は、ホルモン補充療法や、ホルモンバランスを整える薬が男性に用いられることもあります。これにより、精子の産生機能を改善することが可能です。

外科的治療と精子回収技術

精管の閉塞などによって自然排出が困難な場合は、外科的手術によって閉塞を除去したり、精巣や副睾丸から直接精子を採取する「精巣内精子採取術(TESE)」や「精巣上体精子採取術(MESA)」が行われます。

これらの技術によって得られた精子を用いて、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)が行われることが一般的です。

男性不妊と顕微授精

顕微授精は、精子の運動率が極端に低かったり、数が極めて少ない場合でも妊娠を目指すことができる治療法です。1個の精子を卵子に直接注入するため、重度の男性不妊においても妊娠の可能性があります。

ただし、治療には身体的・精神的・経済的な負担も伴うため、夫婦での十分な話し合いと、医師との連携が欠かせません。

まとめ:男性不妊の治療法とは?原因から治療アプローチまで徹底解説

いかがでしたか?今回の内容としては、

  • 男性不妊の原因の多くは造精機能障害によるものである
  • 精液検査が診断の出発点となり、必要に応じてホルモン検査や遺伝子検査も行う
  • 生活習慣の改善が軽度の不妊には有効である
  • ホルモン療法や外科的手術など治療法は多岐にわたる
  • 顕微授精によって重度の男性不妊でも妊娠を目指せる

以上の点が重要なポイントでした。男性不妊治療は、恥ずかしいものでも特別なものでもありません。正しい知識と適切なサポートで、前向きな妊活を進めましょう。

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