不妊治療は長期間に及ぶことも多く、身体的にも精神的にも負担が大きいものです。治療を続ける中で、「少し休みたい」と思うことは自然な感情です。しかし一方で、「休みすぎたら妊娠のチャンスを逃してしまうのでは」と不安になる方も少なくありません。
今回は小田原マタニティクリニックより、「不妊治療を休みすぎるとどうなるのか?」という点をテーマに休むことの影響についてお届けしていきますので、ぜひご覧ください。
不妊治療における治療スケジュールと休止期間
不妊治療には、タイミング法、人工授精、体外受精など、段階的な治療があります。いずれの治療でも、月経周期にあわせて計画的に進めていく必要があり、治療を1周期単位で「お休み」することはよくあります。
しかし、1~2周期休むことは一般的ですが、半年、1年といった長期間の休止となると、年齢や治療状況によってはリスクを考慮する必要が出てきます。
治療疲れによる休止の必要性
ホルモン治療や採卵などの身体的負担、治療への期待と失望の繰り返しなどにより、治療疲れを感じる人は少なくありません。こうしたケースでは、「一度リセットする」意味での休止は決して悪いことではなく、むしろ心身の回復に必要な選択とも言えます。
不妊治療の休みすぎによる影響について
続いて、不妊治療の休みすぎによる影響について見ていきましょう。
年齢との関係
不妊治療において最も影響が大きい要素の一つは「女性の年齢」です。卵子の質と数は年齢とともに確実に低下していくため、特に35歳を過ぎてからの長期の治療休止には注意が必要です。
たとえば、37歳で半年間の治療休止を行った場合、その間にも卵子の老化は進行します。すべての女性に当てはまるわけではありませんが、年齢が高くなるほど「治療再開時の条件」が厳しくなる可能性が高まります。
疾患や状態の変化
休止期間中に、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患が進行する場合もあります。また、排卵障害やホルモンバランスの変化により、治療再開後の排卵誘発剤の効き方が変わる可能性もあります。
そのため、長期的な休止を検討する場合は、主治医と状況を共有し、定期的なフォローアップを受けることが望ましいでしょう。
不妊治療を休むことのメリットは?
続いて、不妊治療を休むことのメリットについて見ていきましょう。
ストレスと妊娠率の関係
ストレスが妊娠率に影響を及ぼすという研究結果は複数報告されています。慢性的な緊張状態では、排卵障害や着床障害を引き起こすホルモン分泌の異常を来すことがあるため、適度な休息はむしろプラスに働くことがあります。
特に、体外受精などステップの高い治療に進む前には、「自分の状態を立て直す」ための時間が重要な場合もあるでしょう。
パートナーとの関係への影響
治療が長期にわたると、パートナーとの関係にストレスが生じることもあります。お互いに「がんばらなければ」と思うがゆえに、すれ違いが生まれることも珍しくありません。
そんなときこそ、意識的に休むことでコミュニケーションを取り直す機会になります。「夫婦としての絆」を再確認できれば、治療のモチベーションも回復するでしょう。
不妊治療再開のタイミングと準備
続いて、不妊治療再開のタイミングと準備について見ていきましょう。
身体的コンディションの見直し
治療を再開する際は、ホルモン値や卵巣機能、子宮内環境の確認など、基礎的な検査をもう一度行うことが一般的です。定期的な通院を中断していた場合は、治療前の状態に比べて変化が生じている可能性もあります。
体調管理を怠らず、必要であればサプリメントや栄養管理、軽い運動などでコンディションを整えておくことが推奨されます。
心の準備と治療方針の確認
休止期間中に治療技術や医療施設の状況が変わっている場合もあります。改めて治療方針を確認し、現在の自分に合った方法を主治医と相談することが大切です。
無理に以前のステップに戻る必要はなく、新しい選択肢が見つかることもあります。心と身体の両方が「前向きになれる」と感じたときが、治療再開のベストタイミングといえるでしょう。
まとめ:不妊治療の休みすぎによる治療や体の影響について
いかがでしたか?今回の内容としては、
- 不妊治療の「休みすぎ」は状況と年齢によって影響が異なる
- 治療疲れの解消やストレス軽減のための休止は有効
- 高齢の場合や疾患のある場合は長期休止に注意が必要
- 心身の回復とパートナーとの関係改善に休止はプラスに働くことがある
- 治療再開時は検査と方針見直しが大切
以上の点が重要なポイントでした。焦りすぎず、でも後悔のないように。自分の身体と心の声に耳を傾けながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。