卵子凍結とは?メリット・課題・流れについて

近年、女性のライフスタイルやキャリア観の変化に伴い、「将来の妊娠のために今のうちに卵子を保存しておきたい」というニーズが高まっています。その中で注目されているのが「卵子凍結」です。

医学の進歩によって、卵子を凍結保存し、将来妊娠を希望するタイミングで使うことが可能となっています。今回は小田原マタニティクリニックより、卵子凍結とは何か、その目的や方法、メリットや課題などを解説していきます。

目次

卵子凍結の基本

卵子凍結とは、女性の卵巣から採取した卵子を特殊な方法で凍結し、長期間保存する技術のことを指します。保存された卵子は、将来妊娠を希望する際に解凍され、体外受精を経て子宮に戻されます。

なぜ卵子を凍結するのか

女性の妊娠力は年齢とともに低下します。特に卵子の質は加齢によって顕著に劣化するとされており、30代後半から妊娠しづらくなるリスクが高まります。

しかし、現代の社会では、結婚や出産の時期をキャリアや経済的安定と両立させたいと考える女性が増えています。卵子凍結は、そうした人生設計の中で「将来の妊娠の可能性を残しておく」ための手段として注目されています。

卵子凍結の方法と流れ

卵子凍結は、主に不妊治療クリニックや生殖補助医療の専門施設で行われます。採卵までには以下のようなステップがあります。

ホルモン刺激と排卵誘発

まず、卵巣に対して排卵誘発剤を使用し、複数の卵胞を同時に成熟させます。これはできるだけ多くの卵子を採取することが目的です。

卵子の採取

卵胞が十分に育ったことが確認されると、超音波機器を入れて超音波画像を見ながら卵子を吸引・採取します。

ガラス化法による保存

選別された卵子は、ガラス化法という技術で凍結し、-196℃の液体窒素で保存します。

凍結卵子の保存期間と妊娠率

卵子は適切な保存環境(-196℃の液体窒素)下で、半永久的に保存可能とされています。しかし、妊娠率に影響するのは「保存期間」よりも「卵子を凍結した時点の年齢」です。

一般的に、35歳以下で採卵された卵子の方が、凍結後に解凍し受精・妊娠する確率が高いことが知られています。40歳を過ぎると、卵子の染色体異常率が高くなり、妊娠率も下がる傾向にあります。

卵子凍結のメリットと課題

卵子凍結は大きな可能性を持つ技術ですが、すべての女性にとって万能ではありません。メリットと課題の両面を正しく理解することが重要です。

メリット

もっとも大きな利点は、「卵子の若さ」を将来に残せる点です。キャリアや経済的事情、結婚のタイミングなどに左右されず、妊娠の選択肢を広げることができます。

また、がん治療などで卵巣機能が失われるリスクのある人にとっては、卵子凍結が妊孕性を保つ唯一の手段になることもあります。

課題とリスク

一方で、卵子凍結が必ずしも将来の妊娠を保証するものではないことも理解しておく必要があります。凍結卵子の解凍後に受精し、正常に発育し、着床するかどうかは個人差があり、期待通りにいかないケースもあります。

さらに、採卵に伴う身体的な負担やホルモン剤による副作用、採卵時の合併症のリスクもゼロではありません。

卵子凍結を検討する際のポイント

卵子凍結は人生における大きな選択のひとつであり、医師との綿密な相談が欠かせません。凍結を希望するタイミングや、卵子の個数、年齢、健康状態などを考慮し、納得した上で進めることが重要です。

また、将来的に使用しなかった場合についてもあらかじめ理解しておく必要があります。多くの施設では一定期間が過ぎると、継続保存か廃棄かの選択を求められます。卵子凍結は「妊娠の可能性を確保する手段」であり、「妊娠の保証」ではないという現実も含めて、冷静に判断することが求められます。

まとめ:卵子凍結とは?メリット・課題・流れについて

いかがでしたか?今回の内容としては、

  • 卵子凍結とは、将来の妊娠に備えて卵子を凍結保存する技術
  • 年齢とともに卵子の質は低下するため、若いうちの凍結が妊娠率に有利
  • 凍結卵子の保存は長期間可能だが、将来的な妊娠の成功を保証するものではない

以上の点が重要なポイントでした。卵子凍結は、自分のライフプランに柔軟性をもたらす選択肢の一つです。知識と理解を深めたうえで、自分にとって最善のタイミングと方法を見つけることが大切です。

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