無精子症とは?種類(閉塞性・非閉塞性)と原因について

妊活中のご夫婦にとって、男性不妊は大きな悩みの一つです。特に「無精子症」は、男性不妊症の中でも自然妊娠が極めて難しい重度の症状です。しかし、適切な知識と治療があれば、妊娠の可能性を諦める必要はありません。

 

この記事では、無精子症とは何か、その原因や種類などを小田原マタニティクリニックが分かりやすく解説します。ぜひ、ご夫婦で正しい知識を身につけ、前向きに治療を進めるための参考にしてください。

目次

無精子症の種類と原因

まずは、無精子症の種類と原因について見ていきましょう。

非閉塞性無精子症

非閉塞性無精子症は、精巣自体が精子を十分に作れない状態を指します。この原因には、染色体異常やホルモン異常などが関わっています。特に、染色体異常の一つであるクラインフェルター症候群は、精巣の発達不全によって精子の産生が著しく低下することで知られています。また、下垂体や視床下部のホルモン分泌異常も精子形成に影響を及ぼすことがあります。

生活習慣も非閉塞性無精子症に影響を与えることがあります。過度の喫煙、アルコール摂取、ストレス、肥満などは、精子の産生や質(運動率や形態)に悪影響を及ぼすことが報告されています。ただし、これらの要因だけで完全に精子が作れなくなることはほとんどなく、多くの場合は複合的な原因によるものです。

また、生活習慣の改善自体が無精子症の根本治療となるわけではありませんが、禁煙や適度な運動、ストレス管理などは精子の質向上につながります。

閉塞性無精子症

閉塞性無精子症は、精子自体は精巣で正常に作られているにもかかわらず、精子の通り道が何らかの理由で塞がれている状態です。例えば、精管の先天的欠損や炎症、外傷による閉塞、過去の手術の影響などが挙げられます。閉塞性無精子症は、非閉塞性に比べると治療による精子回収の成功率が高く、手術や顕微授精の技術を用いて妊娠を目指すことが可能です。

診断の方法

診断は、まず2回の精液検査で精子が0であることを確認します。そのうえで、ホルモン検査や精巣のエコー検査、触診や遺伝子検査などを通じて、閉塞性か非閉塞性かを判断します。

治療の選択肢

続いて、治療の選択肢について見ていきましょう。

閉塞性無精子症の治療

閉塞性無精子症の場合、精管の閉塞部分を手術で修復することで自然妊娠を目指せる場合があります。しかし、手術が困難な場合や成功率が低い場合には、精巣から精子を直接採取して顕微授精(ICSI)を行う方法が選択されます。TESEやMicro-TESEなどの技術は、閉塞性無精子症でも高い確率で精子を回収できる可能性があります。

非閉塞性無精子症の治療

非閉塞性無精子症では、精子の産生が不十分であるため、薬物療法やホルモン療法で精子形成を促す治療が試みられることがあります。ホルモンバランスの調整により、まれに精子が精液中に現れることがありますが、多くの場合はTESEやMicro-TESEを用いた精子回収と顕微授精が現実的な妊娠の手段となります。

生活習慣の改善も治療の補助として重要です。禁煙、適度な運動、ストレス管理、過度な飲酒の回避、適切な体重管理などが、精子の質や回収率の向上に寄与することがあります。

心理的なサポートの重要性

無精子症と診断されることは、多くの男性にとって大きな心理的衝撃を伴います。自己肯定感の低下やパートナーへの申し訳なさ、将来への不安など、心理的負担は非常に大きいものです。そのため、医療機関ではカウンセリングやメンタルサポートが併設されることが推奨されます。また、同じ経験を持つ方との交流や情報共有も、心の支えになる場合があります。

まとめ:無精子症とは?種類(閉塞性・非閉塞性)と原因について

いかがでしたか?今回の内容としては、

  • 無精子症は精液中に精子が存在しない状態で、男性不妊の原因の一つ
  • 非閉塞性は精子の産生自体が不十分で、染色体異常やホルモン異常が関与する
  • 閉塞性は精子は作られているが、通路が塞がれている状態
  • 診断は精液検査、ホルモン検査、精巣検査などで行う

以上の点が重要なポイントでした。無精子症は男性不妊の中でも特に重度の症状であり、原因や種類によって治療法が異なります。生活習慣の改善や心理的サポートも治療の重要な一部となります。

当院でもTESEを行うことが可能です。

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