文筆家の塩谷舞さんが、8月に長男を出産された際のエピソードをSNSで投稿されていました。投稿の中で、塩谷さんは出産後に胎盤が自然に剥がれず、医師が手で胎盤を剥がす「胎盤用手剥離」の処置を受けたことを明かしています。
その原因として、「癒着胎盤(ゆちゃくたいばん)」という状態だったと書かれていました。
癒着胎盤とは、胎盤が子宮の壁に強く張りついてしまい、自然に剥がれにくくなる状態です。
出血や感染、再入院が必要になることもあり、母体にとって大きな負担となる可能性があります。今回は、このエピソードをもとに、体外受精と癒着胎盤の関係、そして癒着胎盤のリスクを軽減するための栄養ケアについてご紹介します。
https://news.yahoo.co.jp/articles/90f3fcfaced7558c067c9a35ec71b83aa529ae27
体外受精と癒着胎盤の関係
体外受精による妊娠では、自然妊娠に比べて癒着胎盤が増える傾向があることが知られています。その背景には、ホルモン補充などによる子宮内膜環境の変化、胚移植の際の着床位置の違い、妊娠年齢の上昇(高齢妊娠)など、いくつかの要因が関係していると考えられています。
特に、受精卵が子宮筋層の深い部分に着床してしまうと、胎盤が通常より強く癒着することがあり、分娩時に自然に剥がれず、手で剥がす「胎盤用手剥離」が必要になることがあります。
癒着胎盤を防ぐためにできること
癒着胎盤のリスクを完全に防ぐことは難しいですが、子宮内膜の健康を整え、血流を良く保つことが予防につながると考えられています。
そのために大切なのが、ビタミンB群と葉酸です。
・ビタミンB群
血流改善やホルモンバランスの維持、エネルギー代謝に関わる栄養素です。
特にB6・B12は、子宮内膜の血流を良くし、柔らかく保つことで、着床しやすい環境をつくり、健やかな胎盤形成をサポートします。
・葉酸
葉酸は、細胞分裂や血液をつくるのに必要な栄養素です。
胎児の発育だけでなく、胎盤を健やかに育てることにも重要です。
不足すると、胎盤の血管形成がうまくいかず、癒着胎盤だけでなく胎盤剥離、胎児発育不全のリスクが高まる可能性があります。
まとめ
体外受精後の妊娠では、通常よりも着床や胎盤形成の過程が繊細になります。
そのため、ビタミンB群や葉酸をしっかり摂取して、子宮内環境を整えることが大切です。
また、食事だけで十分に摂れない場合は、サプリメントで補うのも有効な方法です。
妊娠の成立はゴールではなく、あくまでスタート。
健やかな胎盤を育てることが、安心して出産を迎えるための第一歩になります。