不妊治療を続ける中で、「体重が増えやすくなった」「以前より太りやすい体質になった気がする」と感じる人は少なくありません。治療による身体的・精神的負担とともに、体型の変化は多くの人が密かに気にしているテーマです。
しかし、不妊治療によって太ると言われる背景には複数の要因があり、必ずしも本人の努力不足が原因ではありません。
今回は小田原マタニティクリニックより、不妊治療と体重増加の関係をテーマに、太ることはあるのか?また、健康的な向き合い方について紹介します。
不妊治療で太る?不妊治療と体重増加の関係
不妊治療による体重増加で考えられる原因について見ていきましょう。
水分をためこみやすくなる
不妊治療の多くはホルモンのバランスを整えたり、排卵を促すために薬剤を使用します。これらの薬剤は身体が妊娠しやすい状態になるよう働きかける一方で、むくみやすくなる場合があります。
排卵誘発剤や黄体ホルモンの補充は、水分をためこみやすくなり、体重が増えたように見えるのは脂肪ではなく、水分の影響によるむくみが原因である場合も少なくありません。
ホルモンバランスの変化による体脂肪分布の変化
治療で使用されるホルモン剤は、体脂肪のつき方にも影響します。特に黄体ホルモンの増加は体に脂肪を蓄えやすくする作用があり、これは本来「妊娠に備えるための自然な反応」です。
そのため、同じ食事量であっても以前より脂肪がつきやすくなったり、お腹や腰まわりに脂肪がつきやすくなったと感じることがあります。これは治療の副次的作用であり、異常ではありません。
ストレスによる食欲変動と自律神経の乱れ
不妊治療中は、通院のスケジュール、結果への不安、仕事との両立など精神的負担が大きく、ストレスが蓄積しやすい状態です。
ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増えると、体が「エネルギーを蓄えよう」と働き、脂肪がつきやすくなります。またストレスによって自律神経が乱れると、睡眠の質が低下し、食欲が増すこともあります。「太ってしまうのは自分の意思が弱いから」と責める必要はなく、体の仕組みによる自然な反応である場合がほとんどです。
運動量の減少による代謝低下
治療周期によっては、「激しい運動は控えてください」と医師から指示されることがあり、身体を動かす時間が減ることで代謝が落ち、体重増加の一因になります。特に通院の時間確保のために生活リズムが変わり、運動習慣が乱れるケースもあり、体重の変化につながることがあります。多嚢性卵巣の方は、インスリン抵抗性を認めやすいことも太りやすい原因のひとつです。
太ることが不妊治療に与える影響
続いて、太ることが不妊治療に与える影響について見ていきましょう。
適正体重を維持することは治療の効果向上につながる
適正体重に近いほど、排卵の改善、ホルモンバランスの安定、妊娠率の向上にプラスに働くことが知られています。ただし、「少し太った」「数キロ体重が増えた」程度で治療の成功率が大きく下がるわけではありません。
体重が気になる場合は、医師と相談しながら無理のない範囲で食事や生活習慣を整えることで十分に対応できます。
過度なダイエットは逆効果になる可能性も
不妊治療中に「太らないようにしなければ」と強い焦りを感じ、極端にカロリーを減らしたり、糖質を極端に制限すると、ホルモンバランスが乱れ、かえって排卵が安定しにくくなることがあります。
治療中に求められるのは、体を妊娠しやすい状態に保つことであり、「痩せること」そのものが目的ではありません。栄養バランスの良い食事と適度な運動、十分な休息を保つことが最も重要です。
不妊治療中の体重増加と上手に向き合う方法
続いて、不妊治療中の体重増加と上手に向き合う方法について見ていきましょう。
無理のない範囲でできる軽い運動を取り入れる
激しい運動が難しい周期であっても、短時間のウォーキングやストレッチなど、体に負担の少ない活動を続けることで代謝を維持しやすくなります。特に下半身の筋肉を軽く動かすことで血行が良くなり、むくみの軽減にもつながります。治療のスケジュールに合わせて、身体に負担のない範囲で継続することが大切です。
食事は“量”より“質”を重視する
不妊治療中は、ホルモンの影響で甘いものが食べたくなったり、食事のタイミングが乱れることがあります。そんな時は、過度な我慢ではなく、血糖値が急激に上がりにくい食品を意識することでストレスを抑えつつ体重増加を予防できます。またタンパク質を意識的に取り入れることで満足感を得やすく、ホルモン生成のための材料にもなるため一石二鳥です。
まとめ:不妊治療で太ることはある?不妊治療と体重増加の関係について
いかがでしたか?今回の内容としては、
- 不妊治療による体重増加は、主にホルモン剤の影響やストレス、運動量の低下が要因である
- ホルモンの変化によって体脂肪がつきやすくなるのは自然な反応で、異常ではない
- 適正体重は治療に良い影響を与えるが、過度なダイエットは逆効果になる
- 無理のない軽い運動や、質を意識した食事が体重管理に有効
以上の点が重要なポイントでした。不妊治療中の体重変化は、努力不足ではなく体が治療に適応しようとする自然な反応である場合があります。自分を責めすぎず、医師と相談しながら心と体のバランスを大切に過ごしていきましょう。

