不妊治療における高額療養費の活用について

不妊治療を進めるうえで、費用の問題は多くの夫婦にとって大きな課題です。特に体外受精や顕微授精といった高度な治療を選択した場合、その費用は高額になりがちです。しかし、不妊治療であっても高額療養費制度を利用することで、経済的な負担を大きく軽減することができます。

今回は小田原マタニティクリニックより、高額療養費制度とは何か、不妊治療における適用範囲や注意点を解説しますので、ぜひご覧ください。

目次

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、医療費が一定額を超えた場合に、自己負担額を超えた額が公的医療保険から補填してもらえる制度です。医療費の負担が重くなりがちな治療を受ける際には、非常に有効なサポートとなります。

しかし、高額療養費制度が適用されるのは、保険診療の対象となる医療費のみです。そのため、自由診療で行われる不妊治療は対象外となります。自己負担の上限額に関しては、年収・年齢の条件によって異なり、例えば、69歳以下の方で年収が約370万円以下の場合、57,600円等と設定されています。

上限額の詳細を知りたい方は下記をご参考ください。

全国健康保険協会|協会けんぽ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150

医療費控除との併用

高額療養費制度の申請に加えて、医療費控除を活用することで、年間を通じた医療費負担をさらに軽減できます。医療費控除は、年間の医療費が一定額を超えた場合に所得税が減額される制度であり、不妊治療費も対象となります。

不妊治療の保険適用範囲の拡大について

2022年4月以降、体外受精や顕微授精を含む一部の不妊治療が保険適用となりました。不妊治療の保険適用範囲の拡大に伴い、それらも高額療養費制度の対象になったわけですが、保険適用の不妊治療で高額療養費が適用される具体例として、以下のようなケースが挙げられます。

  • 保険適用された体外受精・顕微授精のプロセス
  • 排卵誘発剤の使用によるホルモン治療
  • 治療に関連する血液検査や超音波検査

上記は保険診療として認められるため、自己負担額が一定を超えた場合に高額療養費の申請が可能です。不妊治療を保険診療で受ける条件には、不妊治療開始時に女性の年齢が43歳未満という年齢制限があり、移植の回数は子供1人につき40歳未満は6回、40歳以上43歳未満は3回までという条件があります。

対象外費用の把握

高額療養費制度はあくまで保険適用の範囲内であるため、自由診療で行われる治療や、治療に関連する交通費、宿泊費、サプリメントなどは対象外となります。そのため、こうした費用については事前に十分な資金計画を立てることが重要です。

家計全体での費用計算

高額療養費制度では、同じ月内に家族全員の医療費を合算することができます。(70歳未満の人は病院ごとの自己負担が21,000円以上の分)そのため、夫婦のどちらかが不妊治療を受けている場合でも、配偶者や子どもの医療費を合算することで、限度額を超える可能性が高まります。

ただし、世帯合算できるのは、同じ公的医療保険に加入する家族間であること、そして保険証の記号番号まで同じケースになります。つまりは、夫婦ともに健康保険に加入していても、共働き家庭のように保険証の記号番号が違えば夫婦間での合算はできません。この制度を活用することで、より多くの医療費負担を軽減できるでしょう。

まとめ:不妊治療における高額療養費の活用について

いかがでしたか?今回の内容としては、

  • 高額療養費制度は、保険適用される医療費の負担を軽減するための公的制度
  • 自由診療部分は対象外であるため、保険適用範囲を事前に確認することが重要
  • 家族全体の医療費を合算することで、限度額を超える場合も多い
  • 医療費控除と併用することで、さらなる負担軽減が可能

以上の点が重要なポイントでした。不妊治療は精神的にも経済的にも負担が大きいですが、高額療養費制度を正しく活用することで負担を軽減し、治療に専念できる環境を整えることができます。適切な情報をもとに計画的に治療を進め、安心して夢を叶えるための第一歩を踏み出してください。

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