男性不妊外来

不妊の原因は様々です。
決して女性側だけの問題ではなく、男性側にもほぼ半分の割合で存在します。

不妊症について

不妊症とは、避妊をせず1年以上挙児に恵まれない事を言います。なぜなら、妊娠を希望するカップルの80%が1年以内に、90%が2年以内に妊娠するといわれているため、妊娠しない期間が長くなればなるほど不妊症である可能性が高くなります。不妊症の原因は子宮や卵管の異常、卵巣機能の異常、精子の異常、あるいは晩婚化、妊活年齢の高齢化など社会的要因を含め多岐にわたります。しかしながら、不妊症の約半数が、はっきりとした原因がわからない機能性不妊(原因不明不妊)です。

当院にて不妊治療を受ける方には、必ずパートナーの方にも不妊検査を受けていただくことで、正確な診断が可能となります。 妊娠は一人ではできません、パートナーの協力が不可欠です。しっかりと話し合って、一緒に赤ちゃんと会える努力をしましょう!

男性側の原因

性機能障害

有効な勃起が起こらず性行為がうまくいかない。

  1. 勃起障害(ED)
  2. 膣内射精障害
  3. 動脈硬化
  4. 糖尿病  など

造精機能障害

軽度〜中等度の精液性状低下。

  1. 精子数の減少(乏精子症)
  2. 精子運動率低下(精子無力症)
  3. 奇形率の上昇  など

その他の原因

  1. 造精機能を司るホルモン分泌低下
  2. 耳下腺炎性精巣炎
    流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に伴って発症する、精巣の炎症
  3. 精索静脈瘤
    陰嚢内の温度が上がる等で精巣の発育不全など精子形成に悪影響が出る
  4. 閉塞性無精子症
    精管(精子の通り道)の一部が癒着し、精子が運ばれず精液の中に精子がいない状態
  5. 非閉塞性無精子症
    精管(精子の通り道)に閉塞がないのにも関わらず、射出された精液中に精子が全く無い状態
  6. 先天性精管欠損
    生まれつき精管が備わっておらず、精子が精巣内に閉じこめられた状態
  7. 膿精液症
    前立腺や精嚢等の炎症により、精液中に白血球が増え、精子の運動率を低下させてる状態
  8. 無精液症
    精液が造られない状態
  9. 逆行性射精
    精液が尿道に送られずに膀胱に逆行する状態

原因不明の不妊

原因不明

検査では見つからない原因によるもの。

  1. 何らかの原因で精子と卵子が体内で受精しない場合
  2. 加齢などにより精子、卵子そのものの妊孕性(赤ちゃんを作る力)が低下している場合

検査の流れ

  1. 問診
  2. 診察
  3. 基本検査
  4. 詳細検査

基本検査について

血液検査

ホルモン値の測定/感染症の有無 など

精液検査

精液量、精子濃度、運動率、直進率、精子の形態などを検査します。

触診・超音波検査

精巣や精子の通り道に異常がないか、超音波検査により精巣内部の異常や精索静脈瘤など血管の異常がないか検査します。
精液検査で乏精子症、精子無力症と診断された場合は、詳細検査を行います。
精液検査を行う場合、診察時間の1時間ほど前に精子を提出していただくことがございます。

詳細検査について

精液検査で異常が見られた場合、以下の検査を行います。

DFI(精子DNA断片化率)検査

損傷したDNAを持つ精子の割合を調べる検査です。DFIが高い場合、受精率や、胚発生率、妊娠率が低下したり、流産のリスクが高くなったりすることが報告されています。

ORP(酸化還元電位)検査

精液中の酸化還元電位(酸化ストレス)を測定する検査です。酸化ストレスは、精子DNA損傷の主な原因とされています。精液中の酸化ストレスが高い場合は、生活習慣の改善や、抗酸化作用のあるサプリメントの摂取などが有効であると考えられています

これらの検査で異常が見られなかった場合、次のステップとして、人工授精、体外受精、顕微授精を検討します。

精子数が極端に少ない(高度乏精子症)、精子運動性が極端に悪い(高度精子無力症)場合、卵子と精子を体外で受精させます。針を用いて精子を卵子に注入する方法(顕微授精)であれば、運動精子が極少数であっても受精することができます。

無精子症について

検査の結果、精液の中に精子が見つからない場合(無精子症)、次の2つに分類されます。

閉塞性無精子症(Obstructive azoospermia, OA)

精子の通り道(精路)の閉塞が原因。精巣の中では正常に精子が形成されています。無精子症の約20%を占めます。

非閉塞性無精子症(Nonobstructive azoospermia, NOA)

精路に閉塞はなく、精巣内での精巣の形成に異常が生じています。無精子症の約80%を占めます。

精巣内精子採取術(TESE)について

この結果から精巣内精子採取術(TESE)を実施して、直接精巣内から精子を採取し、顕微授精を目指します。TESE手術は大きく2種類に分かれます。

Conventional TESE:精巣内精子採取術

陰嚢を0.5cm~1.0cmほど切開し、精巣組織を採取し、その中から精子を回収します。

MDTESE(Micro-TESE):顕微鏡下精巣内精子採取術

※現在施術準備中精巣の被膜を大きく開いて、手術用顕微鏡で精巣にある精細管を採取し、精子を回収します。
非閉塞性無精子症の場合、MDTESEが必要になる可能性が高いと言えます。

TESE手術の流れ

  1. 陰嚢を切開
  2. 精巣組織を(精細管)を採取
  3. 組織内に精子があるか確認
  4. 精子があれば凍結保存する
  5. パートナーの治療開始
  6. 成熟卵採卵後、精子を融解
  7. 顕微授精を実施
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