子どもの定期予防接種の種類と対象年齢

ロタウイルス感染症

病気の概要ロタウイルスによって引き起こされる急性の胃腸炎で、乳幼児期(0~6歳ころ)にかかりやすい病気です。主な症状は、水のような下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹痛です。
ふつうは、5歳までにほぼ全てのお子さんが感染するといわれています。5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、40~50%前後はロタウイルスが原因です。

接種後1~2週間は「腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)」に注意しましょう!

腸重積症は、小腸が大腸の中に入り込んで腸閉塞を発症する病気です。腸の血流が悪くなることで腸の組織に障害を起こすことがあるため、速やかな治療が必要です。ワクチン接種から1~2週間くらいまでの間には、腸重積症のリスクが通常より高まると報告されています。

  • 「突然はげしく泣く」
  • 「機嫌が良かったり不機嫌になったりを繰り返す」
  • 「嘔吐する」
  • 「血便がでる」
  • 「ぐったりして顔色が悪い」

接種後にこれらの症状が一つでも見られた場合は速やかに医療機関を受診しましょう。腸重積症はロタウイルスワクチンの接種にかかわらず、乳幼児がり患することのある疾患で、まれな病気ではありません。

B型肝炎

病気の概要B型肝炎ウイルス感染によっておこる肝臓の病気です。B型肝炎ウイルスへの感染は、感染した血液等に接触した場合に、感染を起こすことがあり、一過性の感染で終わる場合と、そのまま感染している状態が続いてしまう場合(この状態をキャリアといいます)があります。また、経過の違いから、急性肝炎と慢性肝炎があり、急性肝炎は稀に劇症化する場合もあることから注意が必要です。キャリアになると慢性肝炎になることがあり、そのうち一部の人では肝硬変や肝がんなど、命に関わる病気を引き起こすこともあります。

BCG(結核)

病気の概要BCG(結核)は、結核菌によって発生するわが国の主要な感染症の一つです。今でも年間10,000人以上の新しい患者が発生し、約2,000人が命を落としている日本の主要な感染症です。
咳やくしゃみによって空気感染し、周りの人へ感染します。そのため、早期発見・診断が重要となります。
一般的には肺の内部で増えて、咳、痰、呼吸困難等の症状が出ますが、肺以外の腎臓、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響を及ぼすことがあります。また、結核菌に感染した場合、必ずしもすぐに発症するわけではなく、体内に留まったのち再び活動を開始し、発症することがあります。

ヒブ(Hib感染症)

病気の概要ヒブ感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌によって発生する病気で、そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児で発生に注意が必要です。
主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいます。この菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎等の重篤な疾患を引き起こすことがあります。特に髄膜炎は、生存した子どもの20%に難聴などの後遺症を残すといわれています。

小児の肺炎球菌

病気の概要肺炎球菌という細菌によって発生する病気で、そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児で発生に注意が必要です。
主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいます。これらこの菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、や中耳炎、敗血症、髄膜炎等になったり、あるいは血液中に菌が侵入するなどして重篤な状態になることがあります。

四種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)

病気の概要ジフテリアジフテリア菌により発生する疾病です。その発生は1999年を最後に発生はありません。ジフテリアにかかった場合、一般に10%程度の方が亡くなってしまうといわれています。特に5歳以下や40歳以上の年齢の方は重くなりやすく、最大で20%の方が亡くなってしまうといわれています。百日せき名前のとおり激しい咳を伴う病気で、一歳以下の乳児、特に生後6ヵ月以下の子どもでは亡くなってしまうこともあります。主に気道の分泌物によってうつり、咳のために乳幼児では呼吸が出来なくなるために、全身が青紫色になってしまうこと(チアノーゼ)やけいれんを起こすことがあります。また、窒息や肺炎等の合併症が致命的となることがあります。破傷風主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし、毒素を通してさまざまな神経に作用します。口が開き難い、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。かかった場合に亡くなる割合が非常に高い病気です。以前は新生児の発生もみられましたが、近年は30歳以上の成人を中心に患者が発生しています。不活性ポリオ腸に入ったウイルスが脊髄の一部に入り込み、主に手や足に麻痺があらわれ、その麻痺が一生残ってしまうことがあります。様々な治療が試みられてきましたが、残念ながら特効薬などの確実な治療法はありません。麻痺に対しては、残された機能を最大限に活用するためのリハビリテーションが行われます。
日本では1980年以降発生していませんが、外国から持ち込まれる可能性があるため、ワクチン接種が必要です。

麻しん風しん混合(MR)

病気の概要麻しん感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。
平成19・20年に10~20代を中心に大きな流行がみられましたが、平成20年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、平成21年以降10~20代の患者数は激減しました。風しん風しんウイルスによっておこる急性の発疹性感染症で、感染すると約2~3週間後に発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛など、小児より重症化することがあります。また、風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、先天性風しん症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。
最近は大流行はないものの、海外から感染して持ち込む例も多く、決して安心は出来ません。

水痘(みずぼうそう)

病気の概要水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり、その潜伏期間は感染から2週間程度と言われています。発疹の出る前から発熱があり、発疹は紅斑(皮膚の表面が赤くなること)から始まり、水疱、膿疱(粘度のある液体が含まれる水疱)を経て痂皮化(かさぶたになること)して治癒するとされています。
一部は重症化し、近年の統計によれば、我が国では水痘は年間100万人程度が発症し、4,000人程度が入院、20人程度が死亡していると推定されています。
水痘は主に小児の病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。小児における重症化は、熱性痙攣、肺炎、気管支炎等の合併症によるものです。成人での水痘も稀に見られますが、成人に水痘が発症した場合、水痘そのものが重症化するリスクが高いと言われています。

日本脳炎

病気の概要日本脳炎は、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染します。人から人への感染はありません。以前は子どもや高齢者に多くみられた病気です。突然の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもあります。
世界的には年間3〜4万人の感染報告があるが、日本と韓国はワクチンの定期接種によりすでに流行が阻止されています。日本では、1966年の2,017人をピークに減少し、1992年以降発生数は毎年10人以下であり、そのほとんどが高齢者でした。治療法はありません、対症療法が中心となります。
一般に、日本脳炎ウイルスに感染した場合、約1000人に1人が日本脳炎を発症し、発症した方の20~40%が死亡するといわれています。また、生存者の45~70%に精神障害などの後遺症が残るといわれています。

二種混合(ジフテリア・破傷風)

病気の概要ジフテリアジフテリア菌により発生する疾病です。主に気道の分泌物によってうつり、喉などに感染して毒素を放出します。この毒素が心臓の筋肉や神経に作用することで、眼球や横隔膜(呼吸に必要な筋肉)などの麻痺、心不全等を来たして、重篤になる場合や亡くなってしまう場合があります。
最後に発生したのが、1999年であり稀になりましたが、かつては年間8万人以上の患者が発生し、そのうち10%程度が亡くなっていた重要な病気です。破傷風主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし、毒素を通してさまざまな神経に作用します。口が開き難い、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。かかった場合に亡くなる割合が非常に高い病気です。以前は新生児の発生もみられましたが、近年は30歳以上の成人を中心に患者が発生しています。

子宮頸がん予防

病気の概要

子宮頸がんとは何ですか?

「子宮頸がん」とは、女性の子宮頸部にできるがんのことです。子宮は、胎児を育てる器官で、子宮頸部は、腟へと細長く付き出た子宮の入り口部分のことを言います。
子宮頸がんは初期の頃にはほとんど症状はありませんが、生理のとき以外の出血や性行為による出血、おりものの増加などが見られることがあります。また、進行した場合、足腰の痛みや血の混じった尿が見られることもあります。このような症状がみられた際には、ためらわずに医療機関を受診してください。

ヒトパピローマウイルスとは何ですか?

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100以上の種類があります。粘膜に感染するHPVのうち少なくとも15種類が子宮頸がんの患者さんから検出され、「高リスク型HPV」と呼ばれています。
この高リスク型HPVは性行為によって感染しますが、子宮頸がん以外に、中咽頭がん、肛門がん、腟がん、外陰がん、陰茎がんなどにも関わっていると考えられています。
子宮頸部の細胞に異常がない女性のうち、10~20%程度の方がヒトパピローマウイルス(HPV)に感染していると報告されています。また、海外では性行為の経験がある女性の50~80%が、生涯で一度はHPVに感染すると報告されています。
ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しても、90%以上は2年以内にウイルスは自然に排出されるとされています。しかし、ウイルスが自然に排出されず、数年から数十年にわたって持続的に感染した場合には、がんになることがあります。

  • URLをコピーしました!