AMH値で決める排卵誘発法

採卵するための「事前の準備」、「良好卵の育て方」をより丁寧に診て決めていくためにAMH(抗ミューラー管ホルモン)を院内で測定し、AMH値とFSH(卵胞刺激ホルモン)値ならびに超音波検査で卵巣内に確認した小卵胞の数から、排卵誘発法などの治療方法や治療方針を決めています。

事前の準備(卵巣のリセット)として、前周期、前々周期の卵巣のリセットのため、ピル投与・ストイックカウフマン療法の方法を、前周期のAMH値で判断しています。

そして、良好卵を育てる方法として、どのような排卵誘発法が最適なのか(完全自然周期、レトロゾール単独周期、クロミフェン中刺激周期、PPOS周期など)を選択します。

AMH(抗ミューラー管ホルモン)とは?

 AMHとは、卵巣内にある前胞状卵胞の顆粒膜細胞から分泌されるホルモンです。

女性は、生まれつき200万個もの原始卵胞(卵子のおおもととなる細胞)を持って生まれてきます。原始卵胞は、細胞活動を休止させた状態でストックされていますが、徐々に活動を始め120日以上かけて卵子を排出(排卵)することのできる成熟卵胞にまで成長します。AMHを分泌する前胞状卵胞は、この成長の途中段階にある卵胞ですので、AMH値を測定することで、次周期以降に成長してくる成熟卵胞の数を予測することが可能となります。

つまり、卵巣内にある前胞状卵胞数が多ければAMHの値は高く、少なければAMHの値は低くなります。前胞状卵胞数を多く持つ若い女性はAMHの値も高く、年齢を重ねるに従って数が減るためAMHの値は低くなる傾向となります。そのため、「AMHの値は卵巣年齢の指標になる」と言われています。

しかし、体外受精を成功に導く重要なことは、卵子の質にあります。よい卵子と出会うためには、卵巣を大事にしてきたかどうかが問題になりますし、どう大事にするかも問題になります。多くの卵子を確保するために、卵胞を多く育てようと排卵誘発剤を使用した治療を受けていると卵巣はダメージを受けます。ダメージを受けると、質のいい卵子に出会うことが難しくなってしまいます。

当院では、卵巣を大切に且つ質の良い卵子を採卵することを第一に考えた治療を行っています。

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